栗山 幸久 教授

日本のインフラは高度経済成長期に建設され、その多くが５０年を経過し老朽化が進んでいます。今後は、インフラの新規建設から維持管理に重点がシフトすると考えられ、それに対応するインフラの正確な劣化診断技術の研究を行っています。

また、人の高齢化も進んでおり、消防士など我々を守ってくれる人も高齢化により本人の意識しない危険な状態となることもあり、人の疲労度を定量化することにより消防士などの安全を確保する研究を行っています。

• インフラの劣化診断の研究は、ベトナム ダナン大と共同研究を行っており、ベトナム最長の吊り橋の計測を続けています。
• 人の疲労の研究は、横浜消防などと共同研究を行っており、横浜市消防訓練センターなどで実験を行っています。

• A) 橋梁の振動計測などに基づく予兆診断
• B) 金属材料の非破壊計測とFEM解析による損傷評価
• C) 高負荷活動従事者の生体計測に基づく疲労度評価

卒論生にとっては所与のテーマであるが、自ら研究計画を立案し、研究を進めることにより将来自分で企画できることを目指す。用いる各手法については、原理の理解に始まり適用する場合の課題なども、実際に適用することにより学べるようにする。そのためにも、実際の計測対象、適用現場、高負荷活動状況などを自分で体験することも含めたい。

勿論、これらの上で、学術的に新しい知見・手法などが開けることを狙いとする。

• A)
  実測データ(加速度計による振動データ)をOperational Modal Analysisを用いて解析し、橋の健全性の評価を行う手法を開発する。必要に応じて、実橋計測用の小型無線接続のセンサーの開発・製作を行う。
• B)
  鋼構造物の使用時や金属の塑性加工における材料の損傷状態をAEなどの非破壊計測と延性破壊条件式などを組込んだFEM解析を比較対照することにより評価する。必要に応じ実際の材料の損傷状態の観察も併せて行う。
• C)
  消防士などの高負荷活動従事者の活動中の生体情報（心電・呼気・体温）の計測結果から、周波数解析などの手法を用いて定量的な「疲労度指標」を求める。希望がれば、自らトレッドミル・エルゴメーターでの負荷試験を行って貰う。

• 卒論生の習得して来たことなどにより、テーマの内容は調整可能。
• 場所も本郷キャンパスか柏キャンパスかは面談の上 決定する。