研究テーマ | 社会戦略工学、エネルギー経済、リスクマネジメント |
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研究室の紹介 |
土地(環境)、労働、資本、また、それらに加えて、水、資源、エネルギーを投入することにより、ヒトは食料を生産し、モノを作り、サービスを生み、経済を発展させてきました。農業の生産性にはいまだに地域によってかなりのばらつきがあります。生産性を飛躍的に高めた近代農業には肥料、農薬、エネルギーの投入が欠かせません。肥料、農薬の生産にもエネルギーを必要とするので、近代農法は大量のエネルギーがなければ成り立ちません。逆に言えば、さらなるエネルギーの投入により食料生産はまだ増やせる余地があるということです。もちろん水がなければ食料生産は不可能です。灌漑用水の過度の取水により各地で進む砂漠化の進行や、中国・黄河の変わり果てた姿を目の当たりにすると、水はかなり逼迫しているように思えます。地表水のフローはそもそも限られているし、乾燥地帯の農業が多くの場合依存している地下帯水層中の化石水は、過大な揚水を行えば枯渇性資源です。しかし最近では逆浸透膜の技術革新により海水淡水化の劇的なコスト削減が達成されています。海水の条件と電力事情さえよければ1tの真水を100円以下のコストで作ることができるといわれています。しかしそれでも真水生産1t当たり3~5kWhというエネルギーが必要です。植物工場などの完全に管理された環境では食料生産に必要な水の使用をかなり押さえることができますが、追加的なエネルギーの投入は必要不可欠です。 このように考えると、土地と水は、ある程度はエネルギーによって代替できるといえそうです。また、マテリアル資源は、コストとエネルギーをかければある程度はリサイクルすることができます。つまり、環境を別にすれば、持続可能な発展のための最も決定的な制約条件はエネルギーだということが分かります。エネルギー資源の減耗や人為的な二酸化炭素排出による気候変動を考えると、化石燃料から持続可能なエネルギーシステムへの転換が必要不可欠です。持続可能なエネルギーシステムとは、太陽エネルギーがもたらす光,熱,風力,水力、バイオマスなどの各種自然エネルギーと、重力がもたらす潮汐のエネルギー、さらには地球内部の熱がもたらす地熱エネルギーのフローの範囲で、ヒトが必要とするすべてのエネルギーをまかなうことに他なりません。しかしながら、エネルギー関連のインフラには莫大な設備投資が必要な上、設備の償却期間も長いため、エネルギーの構造転換は急激には進みません。このため、将来のあるべき姿を見据えて、その実現に向けた適切な制度設計を含む戦略と地道な努力が必要です。 |
最大受入人数 | 3名 |
研究室ウェブサイト | http://www.sselab.t.u-tokyo.ac.jp |
実施場所 | 工学部2号館9階,工学部3号館2階 |
備考 | 室内作業が中心となりますが,希望により国内外におけるフィールド実験も可能です。 |
卒業論文テーマ |
ほか |
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卒業論文の狙い |
グローバルな視点でローカライズした持続可能エネルギー供給システムを考えるきっかけとする。 |
卒業論文の内容/計画 |
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備考 |
特にありません。 |