白山 晋 准教授

卒業論文テーマ

研究テーマ 実世界指向型モデリング・シミュレーション・可視化
研究室の紹介

世の中のほとんどの現象や事象は複雑系として捉えられています.したがって,そのような現象や事象を分析し,また予測し,そして制御することは難しいとされます.しかし,より良い分析手法,予測技術,さらに制御技術の確立と高度化は,持続可能な社会を形成するために必要とされ,様々なアプローチで研究がなされています.本研究室では,実世界における人間(個),および集団(群)の振る舞いと,環境との相互作用に注目し,計測からのモデリング手法と,ネットワーク思考をベースとしたシミュレーションによる予測手法の開発を行っています.また,可視化,およびデータ分析も研究対象にしています.

最大受入人数 3名
研究室ウェブサイト http://www.nakl.t.u-tokyo.ac.jp/
実施場所 工3号館3階310号室
備考
卒業論文テーマ
  • 人間の行動計測と分析,およびその産業応用 [1~2名]
  • 複雑ネットワーク分析とその応用 [1~2名]
  • 流体情報の分析とその応用(可視化,および機械学習による分析) [1名]
卒業論文の狙い

計測手法,シミュレーションによる予測手法,データ分析,可視化手法の開発と利用を通して,課題設定から課題解決までのながれ,および方法論を理解し,応用展開ができるようになること,そのための技術的なスキルを身につけることが狙いです.

卒業論文の内容/計画
  • 人間の行動計測と分析,およびその産業応用

  • 従来と比べて安価で簡単にセンサーデータが取得でき,外部機器の制御も可能になっています.例えば,スマートフォンから加速度データ,ジャイロデータ,GPSデータ,RFIDデータが取得でき,ノートPCからArduinoなどを介して,モーター制御等も簡単にできるようになっています.このような技術を利用した産業応用について検討します.

    より具体的には,人間行動計測と分析に関連する,
    (a) 視線計測手法と分析手法の高度化
    (b) 作業空間での行動計測手法
    (c) 行動分析からのモデリング手法
    (d) RFIDと画像処理を利用した位置追跡手法
    (e) 作業空間における物体認識手法
    (f) 行動の理解のための画像検索手法

    といったサブテーマで,まずは基礎技術を習得し,あるいは新しい手法を構築することから始めます.そして,産業応用へとつなげます.サブテーマを組み合わせることでテーマ設定を行うことも考えられます.テーマによっては企業や他大学との共同研究になります.

    必要とされる知識は以下の通りです(当初,すべてが必要というわけではありません).
    ・ C/C++プログラミング(Javaプログラミングでクラスが理解できていれば難しくはない)
    ・ コンピュータのスキル(アプリを探し,使いこなすなど)
    ・ 線形代数,確率統計,幾何の学部レベルの知識
    ・ システム制御工学,信頼性工学
    ・ テーマによっては電子工作の知識が必要.
    ・ 英文の学術論文を何編か読み理解することになるので,英語力.

  • 複雑ネットワーク分析とその応用

  • シミュレーションによってネットワーク構造が現象に与える影響を明らかにすること,あるいは可視化によってネットワークの全体像を顕在化することを試みます.

    リンク予測を含めた複雑ネットワーク分析の基礎,グラフレイアウトの方法を学ぶことから始めます.次に,シミュレーションの対象(社会現象(事象),輸送システム,技術の変遷,基本事象など)を決めて,ネットワークの分析が重要となる問題を見つけ,データを収集します.例えば,Twitter, ブログにおける記述,航空機の発着情報,学術情報などからデータ収集を行います.データを分析し,問題解決を試みます.

    必要とされる知識は以下の通りです(当初,すべてが必要というわけではありません).
    ・ Javaプログラミング,あるいはC/C++プログラミング
    ・ コンピュータのスキル(ネットワーク関連の知識)
    ・ 確率統計,線形代数の学部レベルの知識,グラフレイアウトの場合は力学の基礎
    ・ 英文の学術論文を何編か読み理解することになるので,英語力.

  • 流体情報の分析とその応用(可視化,および機械学習による分析)

  • 例えば,気象予報では,観測データを入力としてNavier-Stokes方程式を数値的に解いてデータ取得し,予報に役立てるという方法が主流です.そして,年々予測精度は向上しています.ところが,そのような方法では竜巻といった局地的な現象を予測することは難しいという報告があり,実際予測精度は高くありません.一方,多地点の気象観測データから機械学習によって竜巻の発生予測が可能であることがわかってきました.また,予測結果を避難につなげるためには,データのよりわかりやすい表現が必要になることも明らかになってきました.このテーマでは,データの新しい可視化法と機械学習による新しい分析法(方法論)の構築を目指します.研究の最前線でも手探りの状態にあるため,指導教員と協力しながら進めていくことになります.
備考 ○テーマ選択の際は,事前に必要とされるスキルを示しているので,その点を考慮すること
○研究室の定例ミーティングは通常は火曜日の午後.また,不定期に週1から2程度で勉強会を開催.できるだけ毎日顔を出すことが望ましい.

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