吉田 好邦 教授

卒業論文テーマ

研究テーマ 環境に調和した社会システムをつくるには?
研究室の紹介 地球温暖化対策・環境貢献活動の実践や、制度の社会的実装を念頭におき、工学、経済学、行動科学などの多岐にわたる手法を用いた環境貢献技術の評価を行っています。具体的には以下のようなテーマがありますが、研究室で扱っているテーマは幅広い分野にわたるため、皆さんの希望(問題意識)に応じて研究テーマを設定することも可能です。
  • 環境経済学に基づいた調査分析手法をツールとして、消費者の環境選好を定量化することによる、環境技術、施策の社会受容性分析
  • 個人の限定合理性や異質性を考慮した環境技術・サービスの普及可能性のシミュレーション分析。個人間の排出量取引のように、個人にカスタマイズした環境施策の可能性の検討。
  • 家庭や業務ビルなどで収集された膨大なエネルギー消費データの統計的解析による省エネルギー方策の提案。また環境技術の導入による環境性・経済性の改善のシミュレーション分析。
最大受入人数 3名
研究室ウェブサイト http://www.ee.k.u-tokyo.ac.jp
https://www.facebook.com/y.yoshida.lab
実施場所 工学部9号館309 (年度途中で工学部4号館へ移動の予定)
備考 希望に応じて柏キャンパスにもデスクとPCを用意します。
卒業論文テーマ
  1. 戸建住宅における空調熱負荷簡易推計モデルの構築
  2. 家庭における電力消費の実測データの解析
  3. 次世代自動車の普及のための選好調査分析
  4. 脳の活動による客観指標と申告による主観指標を統合した温熱快適感の評価
  5. ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の実証と環境改善効果の評価
ほか。以上のテーマはあくまで一例であり、配属後の相談でその他のテーマを設定することも可能です。
卒業論文の狙い 以下を参照。
卒業論文の内容/計画
  1. 戸建住宅における空調熱負荷簡易推計モデルの構築

  2. 【内容】
    家庭の空調エネルギーはエネルギー消費の多くの割合を占めている。HEMS(ホームエネルギー管理システム)によるエネルギー消費の見える化は省エネに寄与することが期待できるが、そもそもどの程度のエネルギー消費量が省エネといえるのかは必ずしも明確ではない。空調のエネルギー消費は、世帯の省エネ性向による差だけでなく、住宅そのものの断熱性能によってその大きさが世帯ごとに大きく異なっている。住宅の断熱性能、気温などの気候条件によって標準的な空調エネルギーを示すことができるならば、省エネの努力の度合いを適切に評価することが可能である。標準的な空調エネルギーは、外部条件を設定すれば空調熱負荷計算のソフトウェアによって求めることができるが、HEMSを通じて一般の人々に利用してもらうためにはもっとシンプルなツールが必要である。本研究では簡易な熱負荷推計ツールを作成し、省エネ政策に寄与する成果を上げることを目的とする。

    【計画】
    • 既往研究のレビュー
    • 空調熱負荷計算理論の学習
    • 空調熱負荷計算ソフトウェアの習得
    • データの整備と統計解析
    • 標準熱負荷の推定による省エネルギー政策提案

  3. 家庭における電力消費の実測データの解析

  4. 【内容】
    近年、スマートメータやHEMS(ホームエネルギー管理システム)の普及によって家庭の電力消費量のデータとして、世帯別、時間別のデータが蓄積されている。ビッグデータの一種であるこのデータを処理することで、省エネや節電につながる知見を導き、これを居住者にフィードバックすることによって省エネや節電につなげる取り組みが始まっている。本研究では1年以上にわたる数百世帯の電力消費ならびに太陽光発電設備の発電量データを用いて、居住者への省エネアドバイスを行うための基礎的なデータ解析、地域別の日射量と各地域の太陽光発電設備の稼働量の比較による設備の信頼性評価等の解析を実データに基づいて行う。

    【計画】
    • 既往研究のレビュー
    • 大規模データベースの作成
    • 統計解析
    • 省エネルギーアドバイスなどの居住者へのフィードバック情報の提案

  5. 次世代自動車の普及のための選好調査分析

  6. 【内容】
    電気自動車等の次世代自動車は環境面で優れた性能をもっているものの、価格や走行性能、インフラの未整備などにより普及が停滞している。他方、すでに一般向けに発売されている二次電池による電気自動車に続き、2015年に燃料電池自動車が発売される見込みである。これらの次世代自動車を普及させるためには何をどうすることがどの程度効果的なのかを把握することが重要で、そのためには消費者の自動車に対する選好を知る必要がある。本研究では消費者の自動車に対する選好調査を行い、その結果に基づいて次世代自動車の普及の課題の抽出や政策提案を行う。

    【計画】
    • 既往研究のレビュー
    • 効用理論と選好モデル分析の学習
    • 調査票の作成
    • 調査の実施
    • 統計解析による結果の分析

  7. 脳の活動による客観指標と申告による主観指標を統合した温熱快適感の評価

  8. 【内容】
    空調に使用するエネルギーは大きい。人間の温熱感に関する研究は多くの研究の蓄積があり、環境実験室内において気温、湿度等を計測するとともに、温熱快適性について評価(スコア)を申告してもらう形式をとっている。一方で、申告された快適感は主観的な評価が避けられない。本研究では快適性の基準となる新たな客観的な指標として、脳活動の計測を導入する。脳活動の対象は、脳波に加えて、NIRS(Near-Infrared Spectroscopy; 近赤外分光分析法)による脳の血流の計測の両方を行う。

    【計画】
    • 既往研究のレビュー
    • 実験計画の策定
    • 実験
    • 結果の分析

  9. ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の実証と環境改善効果の評価

  10. 【内容】
    圃場で太陽光発電をしながら農作物を栽培するソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の試みが始まっている。日射の減少による収穫への影響(必ずしもマイナスとは限らない)と発電による収益の増加を考慮することで、経済と環境を両立させる可能性があり、また自立した農業への立て直しが急務である我が国にとって、切り札となりうる可能性を持つ。千葉の水田でのソーラーシェアリングの実証データを利用し、また各種の統計データを用いることで、日本全体のソーラーシェアリングによる省エネルギーポテンシャルを推計する。さらに「ソーラー作物」というべき、ソーラーシェアリングの下での作物について、アンケート調査などによりその市場受容性を検討する。

    【計画】
    • 既往研究のレビュー
    • 統計データ(耕地面積、気象データ等)の収集
    • データ分析による環境改善効果の評価
    • マーケット調査の実施
備考

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