稗方 和夫 准教授


研究テーマ システム設計学と社会実装
研究室の紹介

本研究室は、柏キャンパスの新領域創成科学研究科 人間環境学専攻 産業環境学分野に所属している。

大規模複雑システムとは、様々な人工的なシステムが組み合わさることで成立する複雑系としての性質を見せる系である。システムの成立時における中核要素の関係性は比較的単純であったかもしれないが、技術が深く浸透するとともにシステムは大規模化・複雑化し、結果として人間環境に解決の困難な問題を引き起こしはじめる。これらの問題は、他のサブシステムへの影響伝播により発生する副次的結果のため、伝統的な学術体系の知見に基づいて個別のサブシステムに介入しても解決できない。

このような現状において、大規模複雑システムの問題解決のため、本研究室は以下の2つのトピックに取り組んでいる。

  1. システムの目的、機能、振る舞いやサブシステム間の関係性のシステムズアプローチの手法による記述を基盤とした、標準的な手続きやパターンの体系化によるシステム設計方法論の構築
  2. 大規模複雑システムについて、提案する方法論を援用した異分野の専門家間の深いコミュニケーションとコラボレーションによる認識の共通化、優れた設計解の発見と選定に向けた意思決定の支援

本研究室では、これらのシステムの設計や意思決定を支援する方法論を、海上物流サービス、船舶の建造や情報システム開発などの大規模プロジェクトを代表とする産業界の大規模複雑システムに適用し、従来にない産業を創出するための検討を行っている。また、利用者が予約して乗り合うことで利便性と効率性を両立させるオンデマンド交通の情報システムや、三次元レーザスキャナを用いた数十メートルの超大型部品の高精度三次元計測の精度評価システムなど、システム設計方法論の研究に加えて、設計からプロトタイプ開発、実用化までを手掛けることで研究シーズを社会に還元する活動も本研究室の重要な活動である。

研究室ウェブサイト https://is.edu.k.u-tokyo.ac.jp/
実施場所 柏キャンパス環境棟2階274号室。柏キャンパスへの移動は交通費の補助を予定
備考

卒業論文テーマ
  • 大規模複雑システムを対象としたシステム設計方法論の構築
  • LNG燃料船や自律運航船など、まだ確立されていない技術システムに対するコンセプト設計
  • デジタルアーカイブを利用した大規模史料からの展示物選定と展示会全体の設計支援システムの開発
  • 地域コミュニティの特徴を考慮した高齢者向けサービスの設計と実装
など
卒業論文の内容/計画

まず、システム設計学に関する基礎的な技術や理論を学ぶところから始める。その後、システム設計学に寄与する要素技術・理論・情報システムの開発、または実際の大規模複雑システムの設計問題にシステム設計学の方法論を展開し、その問題で必要とされる研究開発テーマを検討する形で卒業論文を進めていく。実際の大規模複雑システムを対象とする際には、共同研究先の企業や学内外の有識者と連携して実施する。

定期的に、研究室の教員や大学院生の学生とのミーティングを行いながら研究を進める。また、研究室が中心となって運営しているGlobal Teamwork Labの枠組み内で、マサチューセッツ工科大学(MIT)のSystem Design Managementコースの教員や学生のチームと定期的に研究報告会を行う。

備考

ページトップへ