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先輩の声


和泉孝広君(SIMコース4年生)

 少子・高齢化、国際化、情報化をはじめとした様々な変化の渦中にあるこの日本において、先の大震災は復興という大きな課題を与えただけでなく、人工物・社会システムのあり方を根本から問い直す契機だったのではないでしょうか。現代は多くの現象・事象が相互作用し、学問に限らず社会全体が「複雑」の様相を呈しています。このような状況において、ひとつの道標を見つけるためには、ミクロな物質からマクロな人工物までをその対象としてきた工学的なものの見方を身に着けることが重要です。伝統的な工学の分野を超えてSocietyやHumanといった領域にまで工学が進出している背景はこのようなところだと思います。そうした時代の要請に合致した教育を受けられるのがSIMコースです。
 SIMコースの講義は、上記に挙げた課題を解決する手法を学ぶコースです。流体力学や材料力学、プログラミング言語などを習得するだけでなく、コンピュータを用いてモデルを作り、実験結果と照らし合わせてみる、というように得た知識を応用するところまで行います。特筆すべき点として、少人数で行う必修のプロジェクト演習など、プレゼンテーションやグループワークの機会に恵まれているということが挙げられます。外部講師によるロジカルシンキングやデザインマネジメントといった集中講義も、本に書いてあるような知識を得るにとどまらず、真に実践できる力を身に着けることができる点でとても魅力的です。
 コースの学生に関しては、文理問わず幅広い分野から学生が集まっています。進学先も系列の院に進む人が大半ですが、学部卒で就職する人もいれば、はたまた留学を狙う人までおり、実に多種多様です。そうした様々な目的意識やバックグラウンドを持つ仲間たちと、あるひとつの目標のためにチームを組んで課題を解決するという過程は、漫然と学生生活を送っているだけでは体験することができないものであり、社会に出てからも通用する人間力を養うことができると思います。


西尾慶太(平成23年度卒、現大学院工学系研究科システム創成学専攻修士課程1年)

 システム創成学科Bコースへ進学する人には、コンピュータシミュレーションに主に興味がある人、文系就職を考えており経済や社会といったこれまで文系の学問とされてきた分野に興味がある人といった多様な興味を持った仲間が集まります。かくいう私は、文系からこのBコースに進学し、卒業しました。私はこのBコースで学び、工学が私たちの身近にある物質に始まり、人・社会といった様々な分野に応用されていることを学びとても感動しました。具体的には、各種物質シミュレーション等を利用する『物質』の工学、ネットワーク分析やシステム思考を利用して取り扱う『ひと』を対象とした工学、さらには金融市場のマルチエージェントシミュレーションといった『社会』を対象とした工学をBコースでは学ぶことができます。
 工学の発展、特にコンピュータの登場によって、これまでの『理系=もの作り』といったイメージはどんどん変わっている中で、その先頭に立つ工学を学べるのがBコースの魅力と言えます。Bコースでは、物質・人・社会におけるこれまでの工学が取り扱うのが苦手で、社会学などの文系の領域とされていた分野に対して、工学の知見を持って取り組み、複雑化する現象を分析することができます。さらには、豊富な実践的演習・プレゼンテーション能力の養成を通じて、社会の中で自らのプレゼンスを高めるための能力も涵養できます。
 今後、工学の知見を持ち、社会にそれを納得させられるコミュニケーション能力を持つことは、現在の社会における問題を解決できる人間になる上で重要ではないでしょうか。社会で先頭に立ち世の中の問題を解決していく力を養う上で、システム創成学科Bコースは最高の環境だと言えます。
 実際に卒業生の進学先も大学院に進学する人に加え、コンサルティング、金融、各種事業会社のように、理系として培った能力が重宝される多様な業界へと広がっています。ぜひ、みなさんもシステム創成学科Bコースへ進学し学んでみませんか?


竹中一真(平成23年度卒、現大学院工学系研究科原子力国際専攻修士課程1年)

 システム創成学科SIMコースの特徴、それは「見えないものを見る」研究だと私は考えている。例えば、良い携帯電話とは何か、という問があったとする。軽い、接続が速い、写真がキレイ、これらは数字で答えが出る。しかし、使いやすさやデザイン、という価値はどう評価すればよいのだろうか。簡単に数字では答えが出せない。SIMではこのような価値観を初め、将来像、物体の動きなど、見えないものにアプローチする多くの手法を学ぶことができる。工学部っぽくない、と思われる方も多いだろう。しかし、このような一歩間違えると「私はこう思いました」という感想文になってしまう所を、工学的に証明する重要性、そして面白さがあると私は思います。



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