システム創成学科B/Fコース「シミュレーション・デザイン/数理社会デザイン」
2006年度 講義シラバス
科目名
領域プロジェクト〜量子力学第一原理計算による物質状態図のシミュレーション
担当教員
陳迎 助教授
種目・単位数
必修 3単位
時期・場所
4年夏学期 木曜3〜5限(13:00-18:00)
本郷 工12号館1階 中会議室
講義の目的
状態図は、材料・物質の温度と組成を変えると出現するいろいろな平衡状 態を示す図で、材料設計、開発、プロセシングなど、材料科学諸分野において最も基本的な道具である。量子力学第一原理による基底状態のエネルギー計算と統計力学のクラス ター変分法に基づく有限温度のエントロピーの計算を組み合わせた一連の計算から二元系物質状態図 を再現することによって、ミクロな電子の挙動がマクロな熱力学特性への影響を理解する。
キーワード
状態図、量子力学第一原理計算、クラスター変分法(CVM)
内容
第1週: 量子力学第一原理計算についての概要講議、計算ソフトの説明、 計算課題の決定(二種類の二元系物質の異なる規則相を対象 にする)。

第2〜3週:調査した結晶構造データに基づいて、第一原理計算ソフトを動 作させ、各自の対象になる規則相の基底状態の全エネルギー 曲線を求める。

第4週: クラスター変分法についての概要講議、計算コードの説明、インス トール。 求めた基底状態のエネルギーからCVM計算に必要となる ポテンシャルを構築する。

第5週: CVM プログラムを動かせ、order-disorder相境界と関連する熱力 学量を計算する。

第6週: 計算結果の発表。計算した相境界と実験状態図を比較し、第一原理 シミュレーションの意義とその限界についてとりまとめる。
教材
第一原理電子論、クラスター変分法、状態図の基礎についての資料を適宜配布する。
成績評価の方法
出席およびレポートによる評価。
受講者へのメッセージ
構成原子の原子番号のみを与えるだけでマクロな熱力学特性を求めること を可能になる第一原理シミュレーションの美しい過程を体験してください。
備考