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システムには、不稼動を挽回するために予備能力が必要である。海上輸送やオペレーションの計画においては、波浪が作業限界を超える確率(単純稼働率)だけでなく、連続静穏日数の確保や連続荒天日数の影響を考慮に入れることが必要な場合もある。
最新の数値予報モデルと観測データの組合せにより数値的に再現された海象データが利用できる水準になってきている。地球上のほとんどの海域で、空間解像度0.75度、時間解像度6時間、1979年以降35年分の波浪データが提供されているので、この膨大なデータから、季節変動や空間的類似性を取り入れた波浪発現時系列をモデル化して(たとえばマルコフ過程近似)、モンテカルロ・シミュレーションなどに用いることをめざす。
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海洋石油・ガス資源開発が本格化してきた西アフリカや東南アジアの沖合は、台風のような厳しい海象がなく施設の設計条件は比較的穏やかであるが、スコール(突発的な短時間の強風)への安全対策が要求されている。今後、様々な新しい資源(メタンハイドレート、深海底鉱物資源、洋上風力など)の開発が期待される日本周辺海域では、強度設計の関心事は台風による強風・大波や黒潮の強流であるが、比較的静穏な時を選んで行う海上オペレーションにおいてスコールへの備えも考慮すべきである。
日本周辺の沖合海上で海象の連続観測が行われている例は希少である。そこで遠隔離島の観測所のデータ(数箇所×10年分以上)などから、スコールを同定・抽出する手法を構築し、風速変動パターンの類型化・安全性評価のための風速変動モデル化を行う。
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温暖化対策として、製造時・使用時にCO2排出のないエネルギーが必要とされている。再生可能エネルギーは、需要に対する供給の不安定性や変動性を低減するために、貯蔵技術の商用化が不可欠であるが、大規模で経済的な蓄電技術の確立には時間を要する。水素は、石油精製時の副生物として製造されているものが流通している。また燃料電池自動車のための水素ステーションのオンサイトの水素製造方法としては、天然ガスの改質(CO2排出を伴う)が主流を占める。海外の安価な再生可能エネルギーなどで水素を製造し輸入するコンセプトが提案されているが、需要量がかなり多くならないと輸送コストなどで経済的に成立しづらい。
水素エネルギーの市場規模が拡大するまでの期間、国内の再生可能エネルギーファームで余った電力で製造する水素や、石炭ガス化や天然ガス改質とCCS(CO2回収貯留)の組合せで製造する水素(いずれもカーボンフリーで電力の需給不平衡を緩和)を、消費地の都市へ輸送するシステムを統合的に立案する。再生可能エネルギーによる発電量は天候に依存し、あるいは沖合CCSの稼動も天候に依存することなどを考慮に入れて、ロバストな輸送システムのあり方を検討しシステムを計画してみる。