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システム創成学科 知能社会システムコースについて

コース長メッセージ

「宇宙資源」という概念があります。地球外天体を利用して人類の活動領域を広げようとするもので、10年ほど前までは荒唐無稽だと酷評されていました。しかし月や火星、小惑星探査が猛烈な勢いで進む現在、状況は大きく異なっています。米国は宇宙法を成立させて地球外資源の利用を法的に整備しましたし、ルクセンブルクは宇宙資源の国際拠点を標榜し宇宙開発のベンチャー企業等に積極的に投資を始めています。今後も技術的進歩と新たな社会システムが融合を繰り返しながら、この分野は急速に進展するでしょう。

このような新たな潮流は、どこで生まれるのでしょうか?この例ですと、まずは惑星科学と宇宙工学という核に、機械工学や土木工学が融合し技術的なブレイクスルーが生まれたことが重要でした。ここにさらに経済学や社会学的な要素がうまく重なり合うことで、大きなプロジェクトが次々と誕生していったのです。つまり多様な専門家が同じ目的に向かって協働すること、これこそがイノベーションの現場で本質的に重要となるのです。

この構図は、宇宙開発に限った話ではありません。エネルギーや資源、環境、食糧、社会基盤、工業生産、物流といったキーワードで代表される、人類全体で取り組むべき大問題を対象とする大規模システム工学分野も同様です。情報技術を駆使した社会工学分野や、産学連携や産業創出を通じて社会を豊かにしようとする応用工学分野においても、この傾向が顕著にみられます。こうした分野ではキーテクノロジーの開発に凌ぎを削るエンジニアが最先端で活躍していますが、目的の設定から価値の向上まで、経済学や経営学も含めた社会科学的な要素が噛み合うことで、はじめて世界を牽引する強いチームになるのです。

異分野との協働はインターネットの発達で進めやすくなりました。そのため自分に足りない技術や知識を持つ有能な専門家を、世界中から探し協働することが可能です。しかしこれは逆にいえば、生半可な知識や経験しか持たない人や知らない分野の意義を尊重できない人は、最先端の世界で必要とされないことを意味します。つまり急速に進展している分野で活躍するには、強い専門性を持ちつつも、異分野の専門家とも協力し合える技能と度量を持つことが重要なのです。

そこでシステム創成学科Cコース(PSI, Program for Social Innovation; 知能社会システムコース)では、尖った高度な専門性を獲得する基盤作りを行うと共に、異分野との協働を意識した教育を行います。単に教養を広げるのではなく、将来の協働とイノベーションを目指した意図的な視野の拡大です。東京大学には各分野の一流の教員が揃っていますが、このコースは技術の社会実装を目指した分野横断的な研究に意欲を持つ教員が揃っている点が特徴です。こうした教員の知識と経験をうまく使いながら、常に挑戦者であり、勇気をもって新たな分野へ踏み出していく。そのような学生さんを、システム創成学科Cコースは歓迎します。


システム創成学科Cコース
コース長 宮本 英昭