東京大学

Systems Innovation,Faculty of Engineering,The University of Tokyo

 

学科長挨拶

 

 

2020年代になり、新型コロナ感染症の蔓延による人間の物理的移動の制約、地震・津波・台風などの自然災害によるマーケット・サプライチェーンなどグローバル流通の制限、紛争が勃発している地域で安全・安心な社会実現に必須のデータ流通に支障が生じる事象、そして、大規模な通信障害などにより、我々の社会経済活動の維持にリスクが生じました。

これらを受けて、2021年3月に閣議決定された第6期科学技術・イノベーション基本計画では、国民の安全と安心を確保する持続可能で強靱な社会への変革が国家の重要な戦略として定められています。

システム創成学科では、このようなグローバルな情勢と我が国の戦略に、柔軟かつ迅速に対応し、国家の屋台骨を形成するインフラ産業である、AI・データ連携、半導体・情報通信・フロンティア資源・次世代マテリアル・グリーン物流インフラ・サプライチェーン最適化・グリーンエネルギーの確保・社会科学などを含み、地球環境にも配慮する、文理融合・学際総合工学の学理を追求しています。
これらの学理は、関連する社会システムのリデザインを含めた国家インフラ構築事業の競争力強化に繋がり、「安全・安心な未来社会システムの創成」を実現します。
まさに、システム創成学科の名は体を表しているのです。

また、システム創成学科では、特に、AI、アントレプレナーシップ、次世代サイバーインフラなどを始めとする社会と特につながりの深いデジタル革命を推進するための学理を新しい方法で教育する寄付講座や社会連携講座を複数開設しており企業からの信頼を集めています。企業共同研究は多数、また、大型の産学連携国家プロジェクトも複数同時並行で遂行するなど、社会に直接大きく貢献する「新しい産学官連携の工学研究教育」が実施されています。
新たな産業のインキュベーションの観点では、既に、学科から生まれた東大発ベンチャー起業は15社以上であり、教員のみならず学生主導の起業も多くあるなど、東京大学の中でも前衛的な工学教育を実践していると言えるでしょう。

システム創成学科のもう一つの特筆すべき特徴は、新たな教育の仕組みを率先して取り入れる体制があることです。
工学部全体で取り組む、メタバース工学部のリスキリング講座では、DXに関わる科目を開設しています。
また、システム創成学科には、「環境・エネルギーシステム」「システムデザイン&マネジメント」「知能社会システム」の3コースがあり、専門的な知見、あるいは、学際的な取り組みにより、前述の学理を追求していますが、2023年度からは、これらのコースに跨がって、社会が要請する学理を習得するためのバーチャルコース・カリキュラムの仕組みも取り入れます。市民目線で地域創生を進める地域未来社会連携研究機構や、グローバル連携でDXを進める次世代サイバーインフラ連携研究機構など、東京大学全体で進める部局横断型組織も学科教員が中心となり進めています。

システム創成学科は、以上のような基本方針に沿って、安全・安心に暮らせる未来社会システム創成を担うリーディング⼈材を育成していきます。一緒に、未来社会の「システム創成」に、本気で取り組んで行きましょう。

 

2023年4月

システム創成学科 学科長 中尾彰宏(なかおあきひろ)

 

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