Aコース(E&E)環境・エネルギーシステム 履修モデル
E&Eコースでは環境・エネルギー問題を広い視野から捉えて理解することを学びます。そのため、提供している科⽬は⾮常に広範囲に及びます。そこで、E&Eで提供されている科⽬の中で、どのような科⽬を選択することでどのようなキャリアパスにつながるのかをいくつかのモデルケースで説明していきます。
全ての科⽬が重要だと⾔っても、とあるキャリアパスにとって、特に重要な基礎科⽬があり、その上でのより専⾨性の⾼い領域科⽬を重ねていくことで、そのキャリアパスにとって必要な体系だった専⾨性が⾝につくことが理解して頂けると思います。もちろんこれ以外の組み合わせもありますし、履修パターンについても各教員が常に相談に乗っています。
キャリアパスと履修モデルの例
環境・建設系のコンサルタントやマリンコンストラクターなどの
研究所における研究職、関連する行政職の場合
そのキャリアパスにとって必要な科目
- 基礎学理並びに関連演習科目
- 流体力学、地球科学2、環境・エネルギー流体力学
- より専門性を高めるための領域科目
- 環境調和論、環境システム論、環境政策論、各プロジェクト演習
- その他必要なスキル等を身につけるための科目
- エネルギー・資源政策論、エネルギー・環境経済システム、社会システム工学基礎
その他に履修することが役立つと考えられる科目
- 環境・エネルギープロジェクト、環境・エネルギー概論、経済学基礎、数理手法I、数理計画と最適化、数理演習1A、数理演習2A、プログラミング基礎、プログラミング応用、地球科学、生物学・生態工学、伝熱・熱力学(Heat Transfer)、流体力学演習A、環境・エネルギーの化学、システム工学基礎、Advanced Environment & Energy
教員からのメッセージ
こうしたキャリアパスにとって、環境中の物質の動態や循環を理解するための基礎として、流体力学や地球科学に関する基礎学力を身につけることが必要不可欠である。その上で、領域科目を通して環境アセスメントやリスク管理の概念と手法、環境政策と技術の関連を理解する。E&Eコースでは環境とエネルギー双方に関して、政策や経済・社会面を含めて学べるのが特徴であり、こうした科目をあわせて履修することによってコンサルタントや行政職など、専門性を維持しつつより広い分野で活躍することが可能になる。
原子力関係への就職(メーカー)の場合
そのキャリアパスにとって必要な科目
- 基礎学理並びに関連演習科⽬
- 材料力学1、流体力学、伝熱・熱力学(Heat Transfer)、原子炉・ビーム実習
- より専⾨性を⾼めるための領域科⽬
- 原子力エネルギー工学、放射線と環境、Nuclear Reactor Engineering、各プロジェクト演習
- その他必要なスキル等を⾝につけるための科⽬
- 材料力学2、材料力学3、核融合工学・炉設計、核融合プラズマ科学
その他に履修することが役立つと考えられる科目
- 数理演習1A、数理演習2A、プログラミング基礎、プログラミング応用、電磁エネルギー基礎、応用のための物理I、応用のための物理II
教員からのメッセージ
原子力関係のメーカーの場合、実務として、熱流動解析、構造強度解析等を行うことが多いため、材料力学、流体力学、電熱・熱力学を習得していることが強く望まれる。原子炉・ビーム実習は講義で学ぶ事柄を、実習を通して体験するまたとない機会となる。また、原子炉の反応を基礎から理解するためには、量子エネルギー科学、電磁エネルギー科学、熱・統計力学等の基礎物理科目の履修も勧める。また、これらすべての基礎として、数理演習はぜひ履修すべきである。
放射線応用分野(研究機関、先進医療現場)へ就職の場合
そのキャリアパスにとって必要な科目
- 基礎学理並びに関連演習科⽬
- 電磁エネルギー基礎、応用のための物理I、応用のための物理II、原子炉・ビーム実習
- より専⾨性を⾼めるための領域科⽬
- 原子力エネルギー工学、放射線と環境、エネルギービーム応用工学(Energy Beam Applications and Quantum/Relativistic Mechanics)、各プロジェクト演習
- その他必要なスキル等を⾝につけるための科⽬
- 材料力学1、流体力学、伝熱・熱力学(Heat Transfer)、Nuclear Reactor Engineering
その他に履修することが役⽴つと考えられる科⽬
- 数理演習1A、数理演習2A、プログラミング基礎、プログラミング応用
教員からのメッセージ
放射線応用分野の研究機関では、最先端の研究開発に従事することになる。基礎物理の理解は必須であり、量子エネルギー科学、電磁エネルギー科学、熱・統計力学を習得すべきである。原子炉・ビーム実習では、加速器やビームに関する実習も含まれるため、ぜひ履修すべきである。これらの基礎として、数理演習はぜひ履修すべきである。また、研究のツールとしても、プログラミングの技法を身につけておくことを勧める。先進医療現場では、医学物理士として、最適な治療計画を医師とともに策定したり、先進医療機器の開発や導入を指揮することもあるため、やはり基礎物理の修得は必須となる。
エネルギー資源開発エンジニアの場合
そのキャリアパスにとって必要な科⽬
- 基礎学理並びに関連演習科⽬
- 流体力学、環境・エネルギーの化学、プログラミング基礎
- より専⾨性を⾼めるための領域科⽬
- 流体エネルギー資源の形成と開発、エネルギー・資源政策論、各プロジェクト演習
- その他必要なスキル等を⾝につけるための科⽬
- システム創成学基礎、社会のための技術、環境調和論
その他に履修することが役⽴つと考えられる科⽬
- 環境政策論、環境・エネルギー流体力学、環境・エネルギー概論、社会システム工学基礎、数理手法I、数理演習1A、数理演習2A、プログラミング応用、伝熱・熱力学(Heat Transfer), 流体力学演習、環境システム論
教員からのメッセージ
石油・天然ガス等のエネルギー資源の開発は社会を支える基幹産業であり、そこで活躍するエンジニアには体系的な工学的基礎が必要である。その中でも、流体力学をはじめとする基礎学理と数理的な解析・予測の方法論は巨大な資源開発プロジェクトの中枢を担うために必須となる。これに加え、E&Eコースで提供されている社会・環境に関する幅広な科目で多角的な知識を学習、プロジェクトによりそれらを実地体験し、さらにチームとして活用する術を身につけ、グローバルなエネルギー資源業界のリーダーとなる能力を身につけて欲しい。
金属資源間連企業のエンジニアの場合
そのキャリアパスにとって必要な科⽬
- 基礎学理並びに関連演習科⽬
- 材料力学1、地球科学、数理手法I
- より専⾨性を⾼めるための領域科⽬
- 環境エネルギー概論、マイニングエンジニアリング、地球惑星システム工学、プロセシングエンジニアリング、地圏開発工学概論
- その他必要なスキル等を⾝につけるための科⽬
- 流体エネルギー資源の形成と開発、エネルギー・資源政策論、各プロジェクト演習
その他に履修することが役⽴つと考えられる科⽬
- 環境政策論、材料力学2、材料力学演習、地球科学2、環境・エネルギー概論、社会システム工学基礎、数理手法I、数理演習1A、数理演習2A、プログラミング応用
教員からのメッセージ
昨今話題のレアメタルから、ベースメタルと呼ばれる鉄鉱石や銅、鉛、亜鉛などに至るまで、固体鉱物資源、特に金属鉱物は素材側面から社会を支える重要な柱である。その分野でエンジニアとして活躍するためには、材料力学関連講義で学ぶ固体力学の知識、数理的な手法やプログラミングのスキルは必要不可欠である。
他方で、資源採掘現場における環境問題に対する危機感の高まりから、環境問題の全貌、政策に関する側面など、多角的な知識を身につけることで、世界に羽ばたくことの出来るエンジニアになるべく必要な能力を身につけて欲しい。また、こうした知識を身につけることは、鉱山現場でのエンジニアのみならず、そこに機械を供給する鉱山機械メーカーや、金属以外の固体鉱物資源である石灰石産業、石炭産業等へのキャリアパスにもつながるものである。
広く環境・エネルギー関連の行政職、商社や学際系研究職の場合
このキャリアパスにとって必要な科⽬
- 基礎学理並びに関連演習科⽬
- 材料力学1、流体力学、数理手法I、経済学基礎
- より専⾨性を⾼めるための領域科⽬
- 環境政策論、エネルギー・資源政策論、社会システム工学基礎
- その他必要なスキル等を⾝につけるための科⽬
- 環境調和論、原子力エネルギー工学、地球科学
その他に履修することが役⽴つと考えられる科⽬
- 環境エネルギー概論、プログラミング基礎、プログラミング応用、数理計画と最適化、マイニングエンジニアリング、地球惑星システム工学、流体エネルギー資源の形成と開発、環境システム論
教員からのメッセージ
工学系の出身者として、行政職、商社など広く学際系への就職を考える場合には、理系の基礎的な学理を身につけていることが逆にアドバンテージとなることを理解して欲しい。そこで、力学、数理手法の基礎を収めつつ、経済学や社会システム工学の基礎的な手法を理解すること。その上でE&Eの特徴でもある広範にわたるエネルギー・環境問題の講義を通してその根源にある問題をきちんと理解することで、エネルギー・環境分野における問題発見、課題設定、問題解決能力等を醸成しこれを行政、ビジネスの場で活かすことの出来る真の学際系の人材へと育って欲しい。
講義の詳細
講義の詳細はUTAS(学務システム)または東京⼤学授業カタログをご覧ください。
UTAS(学務システム)東京大学授業カタログ
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